概要
これは慢性上咽頭炎の治療法の一つです。慢性上咽頭炎とは、鼻の奥、口蓋垂のさらに奥にある上咽頭という部分が、長期間炎症を起こしている状態のことを指します。

上咽頭に慢性的な炎症があると、いろいろな症状が現れると考えられています。
上咽頭炎により生じる可能性がある症状
後鼻漏、頭痛、咽頭違和感、慢性咳嗽、耳閉感、慢性疲労、めまい、集中力低下など。
塩化亜鉛という薬剤で上咽頭を繰り返し擦過すると、上咽頭炎の炎症が和らぎ、さまざまな症状が改善すると報告されています。
上咽頭を塩化亜鉛で擦過すると、①粘膜の収斂や抗炎症、抗ウイルス作用、②瀉血作用(粘膜下に滞った組織間液や粘膜内のリンパ球を取り除く)、③迷走神経の刺激作用が期待でき、治療効果をもたらします。 ただし、上咽頭擦過療法の効果については、耳鼻咽喉科医の間でも意見が分かれており、まだ標準的な治療法とは言えません。現在、日本口腔咽頭科学会の上咽頭擦過療法検討委員会(2019年設立)が活動しており、良好なエビデンスが少しずつ蓄積されています。
上咽頭炎の診断
上咽頭擦過療法は、慢性上咽頭炎と診断された場合の治療法の一つです。
慢性上咽頭炎の診断は、鼻咽頭内視鏡検査によって行います。
慢性上咽頭炎の診断
鼻咽頭内視鏡による上咽頭の所見
- 発赤・充血
- 腫脹
- 粘液付着・後鼻漏
- 擦過時の出血
上咽頭擦過療法の実際
上咽頭擦過療法の適応
当院では、以下の方に治療の選択肢としてご提案しています。
- 慢性上咽頭炎がある。
- 後鼻漏、痰がらみで長年悩んでおり、他の薬物療法で効果を認めない方
方法
- 鼻の奥の突き当りの上咽頭という部位に、薬液を塗り込む処置を行います。
- 両側の鼻の中、また口の中から口蓋垂(のどちんこ)の奥に塩化亜鉛を塗布した綿棒で擦過を行います。
- 週1回程度、継続して行います。初期(上咽頭炎が強い時期)にはしみる感じと、治療した綿棒への血液付着がありますが、治療回数が増えて症状が改善してくると出血量もしみる感じも軽減してきます。
- 10回-15回程度を行います。上咽頭の出血が早期になくなるようであれば早めに終了しております。治療終了後も時々のどの調子が悪い時だけ処置を受けに来られる方もいます。
- 症状によって内服治療、点鼻薬の併用も行っていきます

*2回目以降は時間予約を取って行っています。
