
甲状腺の病気には、甲状腺機能異常、甲状腺腫瘍があります。
当院では、大学病院時代の経験を生かして、甲状腺腫瘍の診断に力を入れています。また、橋本病、バセドウ病など甲状腺機能異常の診断・治療にも対応します。
甲状腺診療の流れ
- 初診時
- お話を伺い、必要に応じて、頸部超音波検査、血液検査を行います。
超音波検査で腫瘍性病変がある場合は、細胞診検査を別日に予約いたします。

- 再診時
- 血液検査、(細胞診)の結果説明を行い、今後の治療方針について説明させていただきます。

甲状腺は何をしている?
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甲状腺ホルモンは、脳を活性化したり、心臓や消化管に作用したり、新陳代謝を促進させたりします。(続きを読む)
甲状腺は首の気管の前にあり、チョウチョのような形をしています。食事で摂ったヨウ素を使って甲状腺ホルモンを作ります。このホルモンの分泌は脳下垂体がしっかりとコントロールしています。甲状腺ホルモンは脳を活性化させたり、心臓や消化管に働きかけたり、新陳代謝を促したりします。
甲状腺の病気はどのようなものがありますか?
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甲状腺の病気には大きくわけて、甲状腺機能障害と甲状腺腫瘍があります。(続きを読む)
甲状腺の働きに異常があり、自己抗体が陽性の場合は、橋本病やバセドウ病と呼ばれます。甲状腺機能の異常はさまざまな症状を引き起こすため、薬で機能を正常に保つ治療が行われます。
甲状腺腫瘍には良性と悪性がありますが、どちらも自覚症状がないことが多く、自分で気づく人はほとんどおらず、健康診断で指摘されて受診するケースが大半です。甲状腺腫瘤の多くは良性ですが、悪性の場合でも、甲状腺がんの約90%を占める甲状腺乳頭がんは、他の部位にできるがんと比べて悪性度が低く、治療によって根治できる可能性が高いです(早期なら生存率97〜100%:全国がんセンター協議会2018)。ただし、甲状腺乳頭がん以外のがんは予後が良いとは限らず、中でも未分化がんや広範浸潤型濾胞がん、高細胞型乳頭がんなどは非常に悪性度が高く、経験豊富な頭頸部外科医が手術しても不幸な結果になることがあります。
甲状腺機能が悪いとどうなりますか?
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甲状腺ホルモンは体にエンジンをかけるホルモンです。甲状腺機能異常により多彩な症状がでます。また、挙児希望の方が特に厳格な甲状腺機能の調整が必要になってきます。(続きを読む)
甲状腺機能亢進症では以下の症状がでます。
疲れやすい、発汗過多、脈拍数が多くなる、動悸がする、息切れがする、手足がふるえる、イライラする、眠れない、微熱が続く、甲状腺が腫れる、 びまん性甲状腺腫大、眼球突出甲状腺機能低下症では以下の症状がでます。
疲れやすい、汗がでない、脈拍数が少なくなる、体がむくむ、体重が増える、いつも眠い、物忘れしやすい、便秘、筋力低下潜在性甲状腺機能低下症にも注意が必要です。
不妊症、高コレステロール血症の原因になります。
慢性的に甲状腺ホルモンの分泌が低下し、その結果TSHが高くなるものの、FT4は正常な状態です。徐々に甲状腺ホルモンが減していくと、脳下垂体がその変化に反応し、TSHを多く作るようになります。潜在性甲状腺機能低下症は、高脂血症や動脈硬化、不妊症や流産などと関係があり、治療すればこれらは改善します。特に、不妊症の約10%は甲状腺機能低下が関係しているとされ、重要な原因のひとつになっています。

甲状腺機能障害の検査はどのようなものがありますか?
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初診時に血液検査と超音波検査を行います。再診時に血液検査の結果を説明いたします。(続きを読む)
バセドウ病の検査所見
- 遊離T4、遊離T3のいずれか一方または両方高値
- TSH低値(0.1μU/ml以下)
- 抗TSH受容体抗体陽性、TSAb陽性
- 放射性ヨードの甲状腺摂取率高値、シンチグラフィでびまん性の集積
原発性甲状腺機能低下症の検査所見
- 遊離T4低値およびTSH高値
*出産後やヨードが含まれる食品(海藻など)の摂取過多などの場合は一過性に甲状腺機能が低下症することがあります。
橋本病の検査所見
・抗TPO抗体または抗サイログロブリン抗体陽性
*超音波検査で甲状腺の内部エコー低下や不均一を認める。・遊離T4低値およびTSH高値
甲状腺腫瘍にはどのようなものがありますか?
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甲状腺腫瘍の自覚症状はほとんどありません。多くは、良性腫瘤・腫瘍か、低悪性度の甲状腺乳頭がんですが、一部高悪性度の甲状腺がんがあります。(続きを読む)
甲状腺腫瘍は自覚症状がほとんどないことが多いです。4cmを超える大きさになると、首の腫れやのどのつかえ感、飲み込みにくさを感じることがあります。悪性の場合も同様で、初期は症状がほとんどありませんが、進行すると声のかすれや嚥下障害が出てきます。
甲状腺嚢胞は袋状の構造物の中に、液体が貯留した状態です。
腺腫様甲状腺腫は、甲状腺に数個の結節ができた状態です。 これらは甲状腺腫脹以外に何の問題もなく、癌化することもありません。半年に1回程度来院していただき、数や大きさに変化がないかを確認することにしていますが、 治療が必要になることはほとんどありません。
濾胞腺腫は 甲状腺にできる良性腫瘍で、日本人には多く発生する病気のひとつです。 無痛性の腫瘤で、緩徐に増大していくという性質があります。甲状腺濾胞がんとの鑑別が難しく、エコー所見、腫瘍サイズ、血液検査、腫瘍の増大傾向を総合的に判断します。
甲状腺悪性腫瘍には、乳頭がん、濾胞がん、低分化がん、未分化がん、髄様がんなどがありますが、最も高頻度なものは乳頭がんで、95℅を占めます。 他の部位にできるがんの中と比較し、低悪性で、ゆっくり増殖していきます。再発様式も緩徐で、根治治療を行った後、10年以上経過して再発することもあります。 しかし、乳頭がん以外の甲状腺がんの悪性度は高く、中でも未分化がんは診断した時点からの平均生存率が約5ヶ月といわれています。

甲状腺腫瘍の検査はどのようなものがありますか?
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当院では、血液検査、超音波検査、細胞診検査を行っています。臨床症状とこれらの検査結果を組み合わせることで、甲状腺の病気を診断できます。甲状腺の悪性腫瘍が疑われる場合は、滋賀医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科、または淡海医療センター頭頸部外科をご紹介します。どちらの病院も、甲状腺腫瘍の治療に力を入れて取り組んでいます。(続きを読む)
甲状腺腫瘍の診断では、良性か悪性かを見極めることが大切です。確定診断は、手術で腫瘍を切除し、病理検査で調べて初めてわかります。ただ、甲状腺腫瘍の多くは良性で、悪性でも大半は乳頭がんという生存率90%以上の低悪性度のタイプです。なので、腫瘤があるからといって全てを手術で取るのは、手術や全身麻酔のリスク、手術による負担を考えると患者さんにとって不利になることもあります。そのため、まずは手術せず、超音波検査や血液検査、経過観察を慎重に行うことが多いです。
診断には超音波検査が役立ちます。甲状腺の悪性腫瘍では、単発の結節や充実性、内部の低エコー、辺縁の不整、微小石灰化といった所見が見られます。感度は52〜81%、特異度は53〜83%とされ、診断に有用ですが、これだけで確定できるほど精度は高くありません。(*感度は甲状腺がんの患者を正しく甲状腺がんと判断できた割合、特異度は甲状腺がんでない患者を正しくそうと判断できた割合です。)
超音波検査で悪性腫瘍が疑われた場合は、穿刺針細胞診検査を行います。必要に応じて、別日に平日12時ごろの予約をお取りします。この検査は、超音波で甲状腺の腫瘤を確認しながら、注射や採血で使うものと同じか少し細い針を腫瘤に刺して細胞を採取します。痛みは軽く、検査時間は15分ほどです。まれに甲状腺内に出血や一時的な腫れが見られることがあるため、事前にリスクを説明した上で行っています。採取した細胞は病理専門医が診断します。細胞はごく少量で、その中に悪性所見があるかどうかを確認します。
血液検査では、甲状腺に含まれるたんぱく質であるサイログロブリンを測定します。今のところ腫瘍マーカーとしての有用性は確立していませんが、サイログロブリンが1000 ng/ml以上だと濾胞がんの可能性が高いことがわかっています。数値が高ければ手術をすすめます。。

